葬儀のしおり
(浄土真宗本願寺派)

 

1はじめに
  身近な方の死に直面した時は、悲しみのあまり、冷静な判断を

  失いがちなものです。つとめて落ち着いて行動をとるように、自

  分に言い聞かせながら、人生最後の大切な別離の儀式である

  から厳粛にとり行いましょう。
   
後で振返ると手落ちも意外に多いものです。メモを取ること。

 

1)最初の手順

  イ. まず近親者や葬儀の責任者になって戴く方に連絡をとる。

  ロ. 家の中をきちんとし、何よりも先にお仏壇を清掃する。

  ハ. お仏壇のお荘厳は三具足(灯・香・花)とし、打敷は白色

     にし、新しいお花(赤色などはさける)をあげ、お仏飯をお

     供えします。

  ニ. 遺体はなるべく・お釈迦さまの「涅槃」にならって頭を北に

     し、手を胸に組み念珠をかけ、白布で顔を覆います。

  ホ. 家の中が落ち付いたら、お寺に臨終勤行(枕経)の依頼

     をします。(深夜の場合は朝まで待ってもいいでしょう)

 

2)打合せ

  お寺に相談をし、葬式の日時を正確に決定します。決まった

  ら責任者の指示に従って手分けをし、次のように準備します。

  イ. 親戚、知人、勤務先等に連絡する。

  ロ. 医師より死亡診断書をもらい、役場に死亡届を提出し火

    (埋)葬許可証をもらう。

  ハ. 茶菓、食事等の準備。

  ニ. 買物帳、香典帳、通夜見舞控帳、お供え控帳の準備(葬

     儀屋さんが準備することも)

  ホ. 墨、筆、紙華一対の準備(葬儀屋さんが準備することも)、

     お供えの準備。

  へ. 役割分担の手配(受付、連絡、式場、進行司会、導師等

     のお世話、炊事、買物、借物、墓所、駐車場、配車等)

 

  *浄土真宗の正しい心得

    〇着物を逆さにして遺体にかけたりしない。

    〇箸を立てて、膳飯を供えたりしない。

    〇葬式の日取りは「友引」をさける必要はありません。

 

2.臨終のおつとめ (枕経)

  人生の終わりに臨んで、長年お育てに預かったご本尊にた

  いするお礼の勤行であります。 

  臨終勤行は(枕経)お仏壇の前でつとめます。

  

.納棺

  納棺は、基本的には遺族の手で行うものです。まず湯灌をし

  ます。お湯で故人の身体をきれいにふきます。(病院の指示

  がある場合はそれに従います)衣服は白衣(できれば、親戚、

  知人などで縫った木綿のもの)を着せ、両手を胸元で合掌さ

  せ、手に念珠をかけ、棺に納めます、尚、門徒式章があれば

  着けてあげましょう。

 

  *浄土真宗の正しい心得

    〇経帷子や旅装束(手甲、脚絆、銅銭)守り刀等は致しま

      せん。

    〇白衣を左前にしたり、逆さ着にはしません。

 

4.出棺のお勤め  ・・・(火葬場に行く前)・・・

  イ.葬場への出棺に先立って、生涯お育て戴いたお内仏でお

    別れのお勤めをします(お内仏で出棺勤行が出来なかっ

    た場合のみ、葬場勤行の直前に棺前でお勤めする場合

    もあります)

  ロ.柩の上は棺覆い(七条袈裟)を掛け、修多羅以外の守り

    刀や写真等は置かない。

  ハ.本来仏教では葬儀(葬式)が済んで出棺し、後に茶昆に

    付す。

 

5.火葬

  火葬場において、遺体の火葬をする。近親者などが最後の

  お別れで火屋勤行をお勤めします。

 

.通夜のおつとめ

  お通夜をつとめる意義は、縁のあった人たちが集まって、故

  人と最後の名残りを惜しみ、ご本願に生かされて生きる尊さ

  をかみしめつつ、自分もまた同じ道を通ねばならないもの

  として、故人の死を無駄にしない決意を固め、仏恩報謝の

  念を深め、法義相続の場とさせていただくのです。

 

  *浄土真宗の正しい心得

    〇ご本尊が写真やお花などでかくれないようにします。

    〇むやみに飲食や雑談に耽ったりする事は慎みましょう。

    〇通夜勤行は、お仏壇の前でつとめます。

 

7.葬儀

  仏徳を讃嘆し、故人を偲び感謝のまことを捧げる儀式である。

  イ.正面にご本尊(絵像または名号)を奉献懸する。

  ロ.荘厳は五具足(香炉を一個、燭台を一対、花瓶を一対)で

    す。

  ハ.紙華一対をたてて下さい。

  ニ.供物は三具程度とする。

  ホ.焼香宅に香炉、香盒を用意する。

 

  *お葬儀の次第

     (1)開式のことば

      「ただ今より故〇〇〇〇さまの葬儀をとりおこないます。」

     (2)一同合掌 ・・・ 礼拝(らいはい)

     (3)葬場勤行

       〇三奉請    ・・・・ 法中焼香

       〇導師焼香  ・・・  表白文

       〇喪主焼香  ・・・ 

       〇弔辞朗読  ・・・・  弔辞がある場合

       〇正信偈    ・・・・ 十句目(重誓名声・・・)より焼香

                    ①親族焼香

                    ②代表焼香

                    ③親族焼香

                    ④一般会葬者焼香

     (4)喪主謝辞

     (5)閉式のことば

     (6)一同合掌 ・・・ 礼拝(らいはい)

       「これをもちまして〇〇〇〇さまの葬儀を終わります。

     (7)解散  

      ・弔電を読む場合は葬儀の前に代読する。

      ・達書、院号の伝達のある時には葬場勤行の前にする。

      ・お葬式の進行については、事前にご導師と十分打合せ

       を行っておくことが大切です。


8.野辺がえり (野がえり)

  葬儀が終り野辺にお送り(納骨)したことを、仏壇に報告する

  お勤めです。             

 

 9.お寺参り (お礼参り

  初七日頃にご師匠寺の如来様へ、故人が生涯お念仏のお

  育て戴だき往生の素懐を遂げさせて戴いたお礼として、喪主

  や近親者が揃ってお参りし、我が身もまた、倶会一処と往き

  生れるお念仏のいわれを聞き開き、ご本願を喜び仏徳讃

  をいたします。

 

   浄土真宗の正しい心得

    ・葬式にまつわる色々な迷信、俗信が沢山あるようです。

     例えば茶碗を割る、一膳飯を供える、箸を立てる、塩を

     まく、清めの塩を渡等は真宗では一切行いません。

 

10.中陰

  仏教では、人の死後次に生まれ替わる迄の七・七日間を中

  陰と云い、その七日・・・四十九の満中陰まで仏事をつと

  めます。一・七日法要は初七日とも言います。亡くなられた

  日から数えて七日目のことです。その後は七日目ごとに法要

  を営みます。満中陰は法要(七・七日)は四十九日営みます。

  中陰は追善の仏事ではなく、遺族にとって、浄土に往き生れ

  た亡き人の願いである法を聞く仏事として、大切に聴聞いた

  します。

 

   浄土真宗の正しい心得

    四十九が三ヶ月に亘ってはいけないと言う人がいます

     が、これは根拠のない、俗信に過ぎません。「始終苦が

     身に付く」という言葉のゴロ合わせで、明治頃の笑い話

     ですから取るに足りません。

 

 *** 葬儀(法要)勤行次第 ***

       ○臨終勤行

       ○出棺勤行

       ○火屋勤行

       ○通夜勤行

       ○葬場勤行

       ○野辺がえり

       ○お寺参り

平成12年3月31日

山陰教区佐波組 法式委員会

  

「葬儀は、故人に対する追善回向の仏事や、単なる告別の式ではなく、遺族、知友があいつどい、故人を追憶しながら人生の無常をことわりを聴聞して、仏縁を深める報謝の仏事でる。」

 

「全般の荘厳についても、いたずらに華美に流れず、清楚簡潔のうちに荘重になすべきである。又各地に行われている誤った風習や世俗の迷信にとらわれないように心がけましょう。」

 

「あくまでも、道俗ともに、念仏読誦して故人を偲び、これを縁として、仏恩報謝の懸念と、哀悼の意を表す儀式である。」

                        浄土真宗本願寺派葬儀規範式集より